雛は誰が自分の守護された場所を侵すか知らない。
時が経てば卵は割れ、初めて見る太陽の光に目を潰されそうになってはじめてなくのだ。

世界への第一声を。

少年は時を告げる音を奏でている。

ふと、杖の音が止んだ。
少し心配になって引き返した。
すると、
少年はある大きな絵の前で両手を組み合わせ祈っていた。

それは蒼い青い海から今正に生まれ落ちた女神の肖像だった。
しかしその肖像は抽象的に描かれ、背景の海だけがただてらてらとあおく、後は赤や黄色や黒の曲線が描いてあるのみだった。

この少年もここに何かを求めて来ているのだろう。