思った通り閉館間際の美術館は閑散としていた。
もともと余り人口の多くない地方にある美術館である。それでも「芸術は爆発だ」と曰った画家の特設展にはまだひとがいるようだった。

ひとつひとつの絵画をゆっくりと見てまわる。
あるものは色彩をあふれんばかりに全面に押し出し主張が額からはみ出しそうだと思う。
ひとつはあるのかないのか良くわからないと思う。
等しく白壁に飾られた。等しく人生があり哲学があり美学と主張と命がある。願っている。祈っている。憤っている。憎んでいる。愛している。
黙して尚語りかけてくる。叫んでいる。訴えかけてくる。殴りかかってくる。優しく頬を撫でてくる。

もともと芸術の知識はないのだ。素人評価である。
この静寂が只々ありがたい。