授業が終わり、アルバイトがある柚月とは途中で別れた。今日はほぼフルの時間割だったから、もうとっくに日が落ち始めている。
「まだ少し明るいうちに指輪を探さないと」
スマホのカメラで地面を照らしながら、それらしいものが落ちていないか目を懲らす。昨日まではあったのだから、確実にこの辺りで落としているはず。絶対探し出すんだから。
そんな事を思いながら必死に探すも中々見つからず、周りはどんどん暗くなっていく。なんとしても今日見つけて安心したい。だってあれは、本当に大切な指輪だから…
___と、その時。靴先で何か蹴り飛ばしたのか、カラカラっと固いものが地面を転がる音が聞こえた。もしかして、と思い咄嗟にその音の方へスマホのライト向け駆け寄る。
「………あった、」
スマホの光を反射させ、キラキラと輝くシルバーの指輪。少し赤色っぽい光が見え、探していた指輪だと確信する。



