深いため息をつい漏らすと、結月は眉毛をへの字に下げた。そんな表情を見て、これ以上こちら側のマイナスな感情に結月を引っ張ってしまうのは悪いと思い、私は咄嗟に話題を変えようと今朝見たニュースを話題に出した。
「ていうか今朝のニュース、見た?」
「見た見た!!魅惑の飴玉!!記憶奪われちゃう!?みたいなやつだよね?!」
〝魅惑の飴玉事件〟
最近巷でよく話題に出る奇妙な事件。ニュースはこの話題で持ち切りだ。犯人は上手く人の懐に入り込み、飴を売りつける。……と言っても、奪われるのはお金ではなく〝記憶〟だとか。正直SFみたいな話であまり信じられるような話ではないけれど。
「そうそう。よく分かんないけど怖いよね…」
「うんほんとに…。知らない人からは飴貰っちゃダメだよ〜??」
結月はぶるぶると肩を震わせる素振りをみせながら、私の顔を覗き込み無邪気に笑ってみせた。
そんなこんなしていると大学に着き、眠たい授業を受けることになった。
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