【コンテスト用シナリオ】地味カレ、夜はNO.1ホストさま!?〜この恋、背負い投げで一本勝ち〜

〇大学・中庭・桜並木のベンチ・昼休み
ト書き:
風が柔らかく吹き抜ける春の中庭。
小春が文庫本を読んでいる。そこへ蓮がやってくる。
蓮「……小春。今日、このあと、少し時間あるか?」
小春「え? はい、講義ないですけど……なにか?」
蓮「――デートしよう」
ト書き:
ぱたりと本を落とす小春。目をまんまるにする。
小春「で、デート……!? え、演技の、ですか?」
蓮「違う。“本物”のやつ」
ト書き:
蓮の真剣な顔。
小春は固まり、頬を真っ赤にする。

〇駅前・雑貨屋街・午後
ト書き:
ふたりでぶらぶら歩く。
途中、小春がヘアピンを手に取る。
小春「これ、かわいいですね……使ったことないけど」
蓮「似合うと思う。……ほら」
ト書き:
小春の髪に蓮がピンをそっと差し込む。
不器用ながらも丁寧に。
蓮「動かないで。……よし、完成」
小春「……さ、さっきから不意打ちすぎです!! 心臓に悪い!」
蓮「これは、演技じゃないからな」

〇喫茶店・夕方
ト書き:
静かなカフェで、窓側の席。
アイスコーヒーを飲みながら、小春がそっと聞く。
小春「……本当に、いいんですか? ホストと作家、忙しいのに、わたしなんかと」
蓮「“わたしなんか”って、禁止な」
小春「……」
蓮「俺が“がんばろう”って思った時、君はいつもいた。
ホストのNo.1になるって決めた日も、
作家として本気になるって決めた時も――」
「恋に落ちたのは、もっと前だ。……でも、怖かったんだよ。君を巻き込むのが」
ト書き:
小春、唇をかむようにして言葉を探す。
小春「わたし、いまもずっと……先輩が好きです」
蓮「……じゃあ、正式に言うよ」
「小春。俺と付き合ってください。次は“演技”じゃなくて、全部ほんとに、君が好きだ」
小春「――……はいっ!!」

〇駅前・帰り道・夜
ト書き:
人通りの少ない通り。
並んで歩くふたり。蓮がふいに手を出す。
蓮「手、つないでいい?」
小春「もう、こっちからつなぎます!」
ト書き:
にぎられた手が、春の夜風に温かく染まっていく。

小春(モノローグ)
(たぶん、これが“夢”の続き)
(でも、もっとすごい“現実”にしていく。ふたりで)

TO BE CONTINUED…