〇大学・文芸部部室・放課後
ト書き:
文芸部のホワイトボードに、「部誌掲載作品 決定!」の文字。
部員たちがワイワイ盛り上がっている。
部員A「見た!? 次号の部誌、テーマ“恋愛と二面性”だって!」
部員B「いや~小春ちゃんの“ホスト短編”、編集部の投票で満票だったよ!」
小春「えっ、えっ!? えええっ!!?」
部員C「うちの部誌って、出版社関係の人も見るんだよ? これはチャンスだね~」
ト書き:
小春、しばらく固まってから――ぶわっと歓喜の笑顔!
小春「やったああああああああ!!!」

〇大学・図書館裏・夕方
ト書き:
静かな風の吹く中庭。
スマホを見ていた蓮が、ふっと息を吐く。
蓮(モノローグ)
(……来た。結果通知)
(準大賞。掲載決定――)
蓮「やった!」

〇図書館・閲覧席・その夜
ト書き:
小春が、ノートPCを見ながら鼻歌混じりで執筆中。
そこに蓮がやってくる。手にメール画面を開いたスマホ。
蓮「……小春」
小春「せ、先輩!? ど、どうしたんですか、顔がニヤけてますよ!?」
蓮「うるさい。……でも、そうかも」
ト書き:
スマホを差し出す。
小春「……!? えっ、ええっ!? 賞、取ったんですか!?」
蓮「準大賞。雑誌に載る。……やっと」
ト書き:
小春が椅子から立ち上がって、飛び跳ねるように喜ぶ。
小春「すごいすごいすごい!! 先輩、天才です!!」
蓮「……うるさいな。でも、ありがとう」
ト書き:
ふと、蓮が気づくように聞く。
蓮「小春は?」
小春「わたしも! 文芸部の部誌に、小説載ることになりました!!」
蓮「……おめでとう」
小春「えへへ……“ホストと地味彼の二面性恋愛譚”、ですけど」
蓮「それ、俺じゃないよな?」
小春「さあ、どうでしょう~?」
ト書き:
ふたり、同時に笑う。

〇大学・講義棟前・夜の帰り道
ト書き:
並んで歩くふたり。すれ違う学生たちは、ふたりに気づかない。
小春「こういうとき、なんか、言うことありますよね?」
蓮「たとえば?」
小春「“夢が、ちょっとだけ現実になった”とか、そういう感じの」
蓮「――だったら、君に言わせたい。“主役”は君だから」
ト書き:
小春、頬を赤らめて笑う。

TO BE CONTINUED…