〇ホストクラブ・ラウンジ・月末最終営業日・夜
ト書き:
店内はシャンパンタワーとスポットライトで煌びやかに飾られている。
No.1ホストが発表される“ラストナイト”。
スタッフ「さあ、今月のNo.1は――!」
ト書き:
ドラムロールのSE。
蓮と隼人が並んで立っている。客席からも歓声が飛ぶ。
スタッフ「……“レン”!! No.1、おめでとうございます!!」
ト書き:
会場がどよめきと拍手に包まれる。
蓮は一瞬、驚いた顔を見せ――すぐに、静かに笑う。
蓮(モノローグ)
(やっと……ここまで来た)

〇大学・文芸部・数日前・昼
ト書き:
文芸部員たちが、小春の小説原稿を囲んで盛り上がっている。
部員A「読んだ読んだ!? “ホストくん”短編の続き、めっちゃ良くない?」
部員B「泣いた。これ、学内誌に推薦していいでしょ?」
部長「ていうか、小春ちゃん、作家目指してみたら?」
小春「えっ!? ええええ!?」
小春(モノローグ)
(びっくりした……けど、でも……)
(先輩に追いつけるくらい、わたしも頑張りたいって思ったから)

〇大学・図書館・夕方
ト書き:
小春が文学賞の応募用紙を前に、悩みながら原稿を整理している。
小春(モノローグ)
(わたし、書けるかな。先輩みたいに――)
(でも、きっと“わたしの物語”なら、わたしにしか書けない)

〇ホストクラブ・控室・ラストナイト終了後
ト書き:
クラブの営業が終わり、蓮が鏡の前でスーツのネクタイを外している。
そこに、隼人が笑いながら入ってくる。
隼人「ついにやったな、No.1。おめでと、レン」
蓮(レン)「……ありがとう。ちょっと、肩の荷が降りた」
隼人「これからだろ」
蓮(レン)「……ああ、そうだな」
隼人「あの子には……伝えんの?」
蓮(レン)「……」
蓮(レン)(モノローグ)
(君が、今も“好き”だって言ってくれたなら。
 俺はもう――、演技じゃなく、“自分”として君に会いたい)

〇大学・夕暮れの講義棟前・翌日
ト書き:
蓮がスーツ姿で、どこかきれいな表情で小春を探している。
そこへ、文芸部の後輩がやってくる。
部員「あ、小春先輩なら、校舎裏の桜並木に行くって言ってましたよ」
蓮「……ありがとう」
ト書き:
レンがゆっくりと歩き出す。
蓮(モノローグ)
(次は、ちゃんと、俺の言葉で――)

TO BE CONTINUED…