「ねぇ、響子」


「北山先生が、響子さんとお母さんとお話ししたいので、家庭訪問していいですかって言ってるんだけど、あなた大丈夫?」

母が、疲れはてた声で聞いた


「うん」

私は何も考えず、ぼーっと返事をした

当時の私は、なにもかもがどうでもよく思えていて、ただ一人
真っ暗な闇の中にいた

誰にも心を開かないで、ずっと孤独だった




でもね…
本当はずっと待ってたんだよ

傍にいてくれる人を
寄り添ってくれる人を




この時、まだ私は知らなかったんだ




私の人生を変えた

かけがえのない存在との出会いが


こんなに近くまで来ていることを…