午前中。

時計の刻む音、タイピング音に電話の鳴る音、加えて様々な人の声。



俺は欠伸をしながら仕事をこなしていくと、最後の文字を打ち終わり溌剌な気分で資料を印刷に掛ける。コピー機の前へと向かって、そそくさにその資料を取ろうとした最中、細長い指が俺の手に触れる。


「……あ。」
『???』
「モモ♡」

ヤツだ───── 、


『……なんでオマエがおんねん』
「ん?そんなに僕のこと気になる?」


どついてもえぇか?ウン。いいよって誰か言うてくれ頼む。

「まぁ僕とモモの愛は後々育む『育まんヤメロキショいねん』…素直やないなぁ。カワイイ。」

『はァ…ンなことより何でオマエが居んねん』
「あー、これこれ。 」


そう言いながら渡されたのは共同開発プロジェクトと書かれた分厚い冊子。茜莉から渡された資料を俺はパラパラと巡りながら事の経緯を理解する。あァ。つまり、コイツが所属する部署と協力しろと言う事なんやろう。ムリ。イヤ。帰れ。なんて思考を脳裏によぎらせながら溜息を零すと手渡された資料を返し、先程コピーしていたソレを取り茜莉に背を向ける。

『必要以上に俺に話しかけんな。』


─────……マジで勘弁してくれ。