3人で先生に呼ばれて個室に入った。


いつも、担当してくれている五十嵐先生。

いつもは、優しい顔で出迎えてくれるのに今日はなんだか暗い顔をしている。


「夏美ちゃん、今日は、夏美ちゃんの余命を話さないといけなくなっちゃった。ごめんね」


そう言って、悲しそうに五十嵐先生は重い口を開いた。

私は、一瞬、時間が止まった気がした。


少しは考えていたが、まさか余命宣告されるとは、、、


私は、怖いけど知りたい。


私はあとどれくらいの時間が残されているのか。


「私は、あと、、どれくらいなんですか?」

恐る恐る言った。


「あと、1年。まだ、分からない。もっと生きる人もいる。でも、あと1年が妥当と考えたほうがいいと判断して宣告します」



嗚呼、私はあと、1年なんだ、、、


1年、、、


「でも、あと1年あるんですよね?私はラッキーじゃないですか?春・夏・秋・冬1回ずつ楽しめる」


そう思うことにした。


隣にいるお母さんは、涙で震えていた。

光輝は、固まっていた。


私は、そんな雰囲気が嫌で変えたくて2人を励ました。


「大丈夫だから!ね?そんな顔しないでよ?お母さんもそんなに泣かないで!ね?光輝も何固まってるの?」


そう言うしかなかった。


個室からの帰りは、3人で静かに帰った。


病室に入ってからは、何もなかったように振る舞った。


でも、2人はなかなかいつものように笑ってくれなかった。


夕方には2人は帰った。

光輝は、仕事。

お母さんもパートの時間だから。


ふたりとも私のためになんとか時間を削って会いに来てくれてるから。



夜ご飯を食べて、病室で1人になった。

時計の針の音がやけに今日は大きく聞こえた。


それがだんだん虚しくなってきて、気がついたら涙がこぼれてた。


「なんで?なんで泣いてるの?」


「なんで私なの?なんでよ?私、まだ、28歳だよ?なんでよ!?なんでなの?」


気がついたら目の前の時計を放り投げていた。


進む秒針が怖かったから。


時計は、ぐちゃぐちゃになった。


そして、止まった。


いつか、私の時間も止まっちゃうのだろうか、、、


それが、怖くて仕方なかった。