わたしは歩きながら、隼の腕に自分の腕を滑り込ませ、絡みついた。

「おやおや、二十八歳にもなって甘えるのかい」

隼はクスクス笑った。

「あら、女はいくつになっても、女なのよ。甘えたい生き物なのよ」

「それは困ったな。覚悟しておくよ」

今年のクリスマスツリーが一等眩しく見えるのは、隼が隣に居るからだ。

八つ年下のサンタクロース、が。

大通りのアスファルトに、ふたつの影が寄り添って伸びていた。

「隼、会いたかったのよ。とても」

「ぼくもだよ」

「好きよ」

「ぼくもさ」

なお一層強い力で、わたしは隼の腕に絡みついた。

「愛しているわ」

隼はクスクス笑って、わたしの頭に頬を寄せた。

「ぼくも同じさ」

「違う。全然、違うわ」

わたしが頬を膨らませて言うと、隼は困った顔をした。

「違う?何が違うのかな。本当に愛しているのに」

「普通、の愛してる、じゃないのよ」

「と、いうと?」

わたしはクスクス、クスクス、と長く笑ったあと、隼の腕にしがみついた。

森林のような清潔な香りがした。

深い、エメラルドグリーンのような。

愛しているわ。

隼。

「すごく、よ」