婚約者がいるくせに。
まして、その婚約者の親友に手を出して妊娠させ、婚約者を捨てるはめになったくせに。
「真央さんの、元、婚約者は面白い人なんだね」
「そうみたいね。わたしも、たった今、知ったわ」
わたしと隼はひそひそ話をして、お互いの目を合わせてげらげらと豪快に笑った。
亘はクリスマスツリーの真下に立ち、ひどく不快な面持ちでわたしに罵声を浴びせた。
「きみも堕ちたものだね!その年下の男に、きみを守れるわけがない」
そんな失礼極まりない事を言われたというのにも関わらず、隼はとても楽しそうにケタケタと笑い続けた。
わたしは鼻先で、ふふんと笑い声を漏らした。
わたしは幻に恋をしていたのかもしれない。
用意周到で王子様に見えていた亘が、ただの情けない男に見えて仕方なかった。
駅前に建ち並ぶファッションビルやレストランから明かりが消え、魔法が溶けてしまったのだ。
お城の舞踏会で綺麗なドレスを身にまとい、王子様に恋をしていたシンデレラ。
彼女がある時刻を境に、貧しい女の子に戻った瞬間のように。
わたしは悪い魔法から、ようやく解き放たれたのだろう。
非常に清々しい気分だった。
「亘、あなたも堕ちたものだわね。わたし、急に冷めてしまったわ」
ミステリアスな瞳を見つめながらわたしがフフフと笑うと、隼もクスクス笑った。
まして、その婚約者の親友に手を出して妊娠させ、婚約者を捨てるはめになったくせに。
「真央さんの、元、婚約者は面白い人なんだね」
「そうみたいね。わたしも、たった今、知ったわ」
わたしと隼はひそひそ話をして、お互いの目を合わせてげらげらと豪快に笑った。
亘はクリスマスツリーの真下に立ち、ひどく不快な面持ちでわたしに罵声を浴びせた。
「きみも堕ちたものだね!その年下の男に、きみを守れるわけがない」
そんな失礼極まりない事を言われたというのにも関わらず、隼はとても楽しそうにケタケタと笑い続けた。
わたしは鼻先で、ふふんと笑い声を漏らした。
わたしは幻に恋をしていたのかもしれない。
用意周到で王子様に見えていた亘が、ただの情けない男に見えて仕方なかった。
駅前に建ち並ぶファッションビルやレストランから明かりが消え、魔法が溶けてしまったのだ。
お城の舞踏会で綺麗なドレスを身にまとい、王子様に恋をしていたシンデレラ。
彼女がある時刻を境に、貧しい女の子に戻った瞬間のように。
わたしは悪い魔法から、ようやく解き放たれたのだろう。
非常に清々しい気分だった。
「亘、あなたも堕ちたものだわね。わたし、急に冷めてしまったわ」
ミステリアスな瞳を見つめながらわたしがフフフと笑うと、隼もクスクス笑った。