挙動不審になって目を游がせていると、隼はそれを指差した。

クリスマスツリーのてっぺんで月明かりに照らされている、一等大きなスターの飾りを。

「ぼくはエスパーだから、分かるんだ。見て」

わたしは言われた通りに、クリスマスツリーのてっぺんを見つめた。

「真央さんは、きっと、これから最高の恋に落ちるよ」

「そうかしら。わたしはそうは思わないわ」

そう言いながら、隼はエスパーなのかもしれない、とわたしは思った。

エメラルドグリーン色をした目のエスパーかもしれない、と。

「ただ、その人と赤い糸で結ばれていなかっただけさ。いつか必ず、運命の人に巡り逢えるよ」

だから、無理をして忘れる必要なんてないよ、と隼は言った。

わたしは泣きやむことができなかった。

「一度好きになった人は、いつまで経っても好きなんだよ。一番じゃなくなるだけさ。だから、無理をして忘れなくてもいい。それ以上に誰かを好きになればいいのさ」

十二月のクリスマスツリーの真下で泣いているのは、わたしの他に誰もいなかった。

誰もが、幸せに笑っていた。

わたしは泣きながら、七年分の亘を走馬灯のように想い出していた。

それと同時に、環奈のことも。

想い出される情景はどれもこれも幸せな残像ばかりで、ますます泣けてどうにもならなかった。