その足で、ふたりで出場申し込み用紙を取りに行った。

教室に戻る途中、玲那ちゃんが笑いながら言う。

「ちょっとドキドキしてきたね」

私も、小さく笑った。

ふたりの歩幅が、さっきより少しだけ近づいていた。

(……それでも、今なら——歌える気がした)

自分の歌が、誰かの心に届くかどうかなんて分からない。

でも、誰かの手に触れるかもしれないなら——

私は、その一歩を踏み出したい。