なにを伝えたいんだろう。

歌にしたいって、どんな気持ちだろう。

ノートの上でくるくると回るボールペンを見つめながら、
私は、昨日の屋上を思い出してた。

夕暮れの風。
はじめて一緒に歌った時間。

玲那ちゃんのまっすぐな声に、
私の声も、そっと寄り添った。

「また歌いたいな」って思ったあのときの気持ち。

それって、ただの“楽しかった”じゃなくて——

“ありがとう”とか、“うれしかった”とか、
そういうのを全部まとめたような、

あたたかい気持ちだった。