放課後。

私がノートをしまっていると、隣の席から声がした。

「ねぇ星菜ちゃん、今の聞いた?」

玲那ちゃんだった。
少しワクワクした顔で、こっちをのぞき込んでくる。

「文化祭のステージのこと。出てみない?」

一瞬、時間が止まった気がした。

「えっ……私が?」
「うん、ふたりで。歌ってみない?」

胸がドクンドクン鳴って、
でも口から出てきたのは、思わず漏れた弱音だった。

「……無理だよ、私にはそんな勇気——」

玲那ちゃんは、少しだけ驚いたように目を見開いて、
でもすぐに、やさしい笑顔になった。