屋上に、ふたりの声が重なる。

ゆっくりと、でも確かに、響いていく。

誰もいない放課後の空。

空気も風も、まるで私たちの歌を
やさしく包んでくれてるみたいだった。

最後の音が空に消えたあと、

ふたりで、ただ顔を見合わせて、笑った。

「……なんか、すごいね」
玲那ちゃんが照れくさそうに言う。

私は、胸の奥があったかくなるのを感じながら、
小さくうなずいた。

これは、きっと——

まだ誰も知らない、

ふたりだけの、ひみつの予感。