廊下を歩いていたら、どこかから聞こえてきた。

あの歌声。

思わず、立ち止まった。

やっぱり、星菜ちゃんの声だった。

「……また、歌ってる」

気づいたら、私は走ってた。

あのときみたいに、ただ立ち尽くしてるのはイヤだったから。

屋上の扉を開けると、
星菜ちゃんがこっちを見て、ハッとした顔になった。

そして、そのまま背を向けて、帰ろうとした。