放課後の屋上は、いつも静かだった。

鳥の声と、少しだけ風の音。
誰もいないこの場所が、私にはちょっとだけ特別だった。

歌を口ずさむのは、
誰にも聞こえないような、小さな小さな声で。

声に出すと、自分の気持ちに輪郭ができる気がした。

私は、歌が好き。
でも、それを誰かに話したことはない。

聞かれるなんて、怖い。

でも、歌うのをやめたくはなかった。