――私は、目立つのが苦手だ。

できるだけ静かにして、空気みたいにそこにいるだけでいい。
そんなふうに過ごしてきた私が、この春、転校することになった。
新しいクラス、新しい制服、新しい空気。

きっと、誰の記憶にも残らないままでいられる——そう思ってた。