私の宣言と共に、一名を除くシンカンと清維を残してその場を去った。
病院外へと出た私達は、惣倉君のお知り合い?が運転する大型の黒いバンに乗り込み、緩やかに発進する。
「先輩大丈夫ですか?」
「うん大丈夫…」
私より大丈夫じゃ無い人が居るせいか、そこまで緊張もしていない。
ちらりとその人に視線を向ければ、前方に座っていた彼の後頭部が見えた。
すると、
「肩の力を抜けや、《《武凱》》」
呆れた様に渚君が隣に乗り合わせる鉄将君にそう言った。
「別に緊張している訳では、」
「埜々ちゃんに捨てられるかもしんない恐怖だもんね、鉄将君の場合」
「うぐっ!」
身体は渚君と同じくらい大きいのに、あの虫も殺せぬか弱い婚約者の口撃に、大分堪えた様だった。
「あらあ傑作やったな」
助手席に座る凌久君が意地悪く笑って、
「良い婚約者さんだよね。彼処で誰もシンカンが来ないってなったら、シンカンの面目丸潰れだったもんね」
「うぐぐ…」
お兄ちゃんの隣に座る夏波ちゃんは感心する様に言って、鉄将君は更にダメージを追った。
そう。
あの後、埜々ちゃんの鉄将君に対する態度が凄かった。
シンカンである彼等が、各々の根本的な在り方について考え直さないといけない事が判明し、着いて行くメンツ以外は打ちひしがれていた時だった。



