「俺は唐堂先輩が困っているって海祇先輩から聞いて来ました。だから天條先輩がどうなろうが知ったこっちゃないです」
「私も兄さんと綴ちゃんの為だからなあ」
「俺が妃帥のシンカンになったのもつづの傍におったかっただけやさかいな。俺も獅帥がどないなってもええ」
皆んな大体私の為である事に木野島君は驚愕し「いいの!?だって下手したら社会的に抹殺される可能性だってあるんだよ!?」と何故だか心配までしれくれた。(こう言う所が他の人と違って、人が良いと思われる所なんだよね)
けれど、
「俺は半分以上はつづちゃんの為やけど、獅帥に言うたりたい事がある」
渚君がバッサリと切り捨てる。
あまりにもバッサリと切り捨てるもんだから「言ってやりたい事?」と木野島君が恐る恐ると言った風に渚君に聞いた。
「分かるんやろうそんなもん」
「…?」
木野島君が分からない様で、はあっと盛大に溜息を吐いた渚君は、半眼で彼を見つめた。
「妃帥が、自分らには自己中女にしか見えてへんかもわかれへん。初めは俺もなんやこの女って思たもんや。せやけどな、」
渚君がICUの入り口に視線を移す。
「妃帥はそんなしょうもない女ちゃう。あんな中でもきっと死の影に怯える様な事はせんと、たった1人の事だけを思てる」
「たった1人?」



