過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 黒のニットにジャケット、パンツと言う極シンプルな装いなのに、夏波ちゃんに宿る美しさは隠しきれておらず、お兄ちゃんと並ぶと存在感の強さに圧倒される。


「嬉しいけど皆何で黒統一なの?」


 邦画の、世界滅亡の時に立ち向かえるのはあいつらだ!ってぐらいカッコイイけれど何故に黒なんだ?

 夏波ちゃんが「だって、」と笑う。


「襲撃しにいくんでしょう?だったら返り血目立たない方が良いなって」

「しゅ、襲撃?」

「俺は天條に引導を渡すのかと」

「い、引導?」

「俺は哀れな彼奴をしばいた上に踏み付けるつもりや」

「ふ、踏み付け?」


 意思が統一されているのかしないのか。

…まあ私も似た様な感じだからいいよね。(思考放棄)


「ちょっと!お願いだから待って!」

「どうしたの木野島君」


 ちょおっと待った!と言う声を出したのは、損な役割の多い木野島君で。


「此処に集まってくれたのって獅帥の為じゃないの!?」


 その言葉にかつて無い静けさが、場を包んだ。


「…え、俺何か間違った事言った?」


 キョロッキョロと周囲を見る木野島君は、他のシンカンから視線を逸らされている。(巻き込まれたくないんだろうなあ)


 かく言う問われた渚君達(夏波ちゃん以外)は顔を見合わせて嫌な顔をすると、