そんな表情するぐらいならやれる事が合ったでしょうと鼻で嗤う。
「…家族は誰も気に掛けない、周囲も監視目的で気に掛けているだけだから心から心配されている訳でも無い、孤立無援って事でしょう。好きなモノを作る事すら許されていない獅帥君に妃帥ちゃん以上の未練なんて無いと思わない?」
妃帥ちゃんが死ぬ事前提で話しているけれど、私は勿論死ぬとは思っていないし、獅帥君を連れ戻すのだって、妃帥ちゃんとの約束があるからだけどさ。
ただ普段感情を表沙汰にしない人程、何かがあって心が折れてしまった時に、どう言う行動を取るか予想が着かないから怖い。
だから彼等に危機感を持って欲しいだけなんだけれど…。
「…っ」
結局火ノ宮君も口籠もるんだね。
どうせなら否定して欲しかった。
「…いいよ幾ら言っても分かってくれないなら、ただ邪魔だけはしないで」
もう、こんな所で問答する時間も惜しい。
「凌久君案内して貰える?」
「ええで」
凌久君が頷く。
私が付いて行こうとすると、木野島君が「待って!行っても入れて貰えるか分かんない、」と言い始めるもんだから、私と凌久君の視線が刺さり、急に居心地悪そうに話しが止まる。
止めるならもっとしっかり止めればいいのにと思いながら、シラっとした目で見ていれば更に木野島君は身体を小さくした。



