「獅帥君は誰のお願いでも叶えるって事はさ、シンカンのお願いも叶えてくれるんでしょう?自分が辞めてもお家に影響が出る様な事は止めて欲しいって言われたら叶えるんじゃない?」
火渡君含むシンカン達は言われた事を理解しようとしてーーー途轍もなく動揺した。
無意識下では気付いていたって事なんだろうけれど、
「…シンカンとしての役割は全うしない、したくない。でも恩恵は受けたいって事なんでしょう」
それもどうかと思うけどね。
「違う、俺らは、俺達は!」
火渡君の悲鳴の様な言葉。
《《俺達》》ね。
それには誰が含まれているんだろうか。
垣根を作ったのはどっちだったんだろう。
「テメエは…テメエは知らないからそんな事言えるんだよ!俺達がどんなに、」
「大変かだって?獅帥君が繰り返し他人に傷付けられるのを適当に嗜めて放置してた癖に、シンカンである大変さを分かってくれて凄いね」
「っ…テメエ!」
私の煽りにカチンと来た火渡君はーーーガッ!と怒りに任せて私の襟首を掴む。
「烈!」
「つづ!」
「大丈夫凌久君!」
鉄将君と凌久君が止めようとしてくれるが、私は今此処で殴られても言わないといけないから待ったを掛けた。
分からずや共が!とたっぷりと心で罵りながら、火渡君に代弁させている他のシンカン達にも聞こえるぐらい大きな声で叫ぶ。



