過つは彼の性、許すは我の心 弐



 現に私の言葉に心当たりがあるのか、黙り込む火渡君。


「…私ビックリしたよ。こんなにも沢山の人に囲まれて自分勝手に振る舞っているかと思いきや、危険があっても1人で耐えて相談すらしていないんだもの」


 勝手に勘違いしてしまった人達に傷を付けられても文句も言わない、夜中に謎の訪問者が来ても恐がらずにそうかで済ませてしまう。

 じゃあそんな目に遭って、どうしてそこまで教えや掟を優先するのか?

 未だに理由は分からないけれど、それには絶対妃帥ちゃんが関わっている。

 この世で獅帥君にとって妃帥ちゃん程大事なモノはない。

 でも妃帥ちゃんからすれば、思う様に動かない身体の所為で、全てを受け入れて傷付く兄を見守るしか出来ないのは相当なジレンマだろう。

 自分が常に居れないなら誰かに守って貰いたいのに、獅帥君の傍に居れるシンカン達は守ってくれないし、剰え獅帥君を傷付ける人を近付けた。

 怒って当然だと思った。

 長年の付き合いで獅帥君の性質を分かっていて、そう言う人間を近づけたのが許せないのも分かる。


 ただ、


「私達はまだまだ子供で、使命感を持ってシンカンやれって言われてもそう簡単に出来ないよね。本当なら大人が出る幕の所を子供が対応するのってすっごく大変だとも思う」