過つは彼の性、許すは我の心 弐



 別にシンカンだけをせめている訳じゃない。

 言わない獅帥君達にも問題がある。

 でも獅帥君達はオオミカ様と崇めて来る沢山の人達に、その一挙一動を監視され、自由も殆ど無い。

 家族である匡獅さんは子供の事を考えている様に見せて子供の顔色1つ読めない駄目父親だし、お姉さんは忙しいからと顔すら見せないし、事情は分からないけれど母親は影すらない。

 家庭にはそれぞれ事情がある。

 あるんだから、部外者が口を挟むのは間違っている、間違っている…とは言っても限度があるんだよ。


「獅帥君は優し過ぎるんだよ」

「…それはアイツが」

「うんオオミカであるから人には平等に接するとかなんとかでしょう。けどさ、獅帥君って何かを心から欲した事がきっとないんだよ」


 突然どうした意味が分からないと言う顔をしている火渡君。気持ちは分かるけど聞いてて頂戴。


「…相手の要求ばかり聞いてそれが積み重なって行くと、相手は見た目完璧超人の獅帥君が此処まで自分の事を考えてくれているから彼も…なんて甘い期待を抱く。でも、」


 埜々ちゃんみたいに言語化出来ないけれど、


「真剣になるほど獅帥君から相手を求めた事が無い事に気付く。で、獅帥君が他の相手にも同じ様に接する所を見て逆上」


 恐らく合っている筈。