過つは彼の性、許すは我の心 弐



 火ノ宮君は鼻を押さえながら「い、言っておくけど僕ら誰も行かないから」分かりきった事を言う。

 でしょうね。

 私の暴力以前に、居場所分かっていたみたいだし。

 
「…皆んなが行かない理由は、保身って事?」

「っそれは、」


 オブラートは包まない私の言い方に、清維が否定しようとして…否定出来ずに口籠もる。

 周囲を眺めれば気まずそうな顔を下げた彼等。


「獅帥君にはオオミカとして神様を求める癖に、獅帥君が困った時は助けもしないんだ」


 自分でも口にしてて嫌になる。

 心配も嘘じゃない。

 でも、自分が傷付いてまでは助けたいと思っていない。

 そう言う事なんだ。

 何だかそれがーーー悲しい。


「私妃帥ちゃんが火渡君に辛く当たったの分かるよ」

「アア?」


 急に白羽の矢を立てられた火渡君は威嚇するかの様に声を出す。

 それに前なら恐がったり苛立ったりしていたのに、今の私には悲しさしかなかった。


「シンカンって、普通の人とオオミカの仲立ちなんでしょう。仲立ちってトラブルがない様対応するって意味合いなら、出会ったのが偶然だったとしても、その後に起きた事件は未然に防げたんじゃない?」

「…言っただろう、ガキじゃねェんだよ。面倒見れねェって」

「でもその後フォローもしなければ、開き直ったんでしょう」

「…」


 図星か…だよね。