火ノ宮君は鼻を押さえながら「い、言っておくけど僕ら誰も行かないから」分かりきった事を言う。
でしょうね。
私の暴力以前に、居場所分かっていたみたいだし。
「…皆んなが行かない理由は、保身って事?」
「っそれは、」
オブラートは包まない私の言い方に、清維が否定しようとして…否定出来ずに口籠もる。
周囲を眺めれば気まずそうな顔を下げた彼等。
「獅帥君にはオオミカとして神様を求める癖に、獅帥君が困った時は助けもしないんだ」
自分でも口にしてて嫌になる。
心配も嘘じゃない。
でも、自分が傷付いてまでは助けたいと思っていない。
そう言う事なんだ。
何だかそれがーーー悲しい。
「私妃帥ちゃんが火渡君に辛く当たったの分かるよ」
「アア?」
急に白羽の矢を立てられた火渡君は威嚇するかの様に声を出す。
それに前なら恐がったり苛立ったりしていたのに、今の私には悲しさしかなかった。
「シンカンって、普通の人とオオミカの仲立ちなんでしょう。仲立ちってトラブルがない様対応するって意味合いなら、出会ったのが偶然だったとしても、その後に起きた事件は未然に防げたんじゃない?」
「…言っただろう、ガキじゃねェんだよ。面倒見れねェって」
「でもその後フォローもしなければ、開き直ったんでしょう」
「…」
図星か…だよね。



