過つは彼の性、許すは我の心 弐



「獅帥はな、とある会員制クラブにおるんや」

「クラブ?」

「土師!」


 木野島君が焦った様に止めに入るが「今止めた所で余計気になるやろ」と凌久君は嘲笑う。


「しかも社会的地位が高いお方々しか入れへん、ちょいした曰くつきのクラブでな」

「い、曰くつき?」


 幽霊が出るとか?

 
 私の返答に「幽霊の方がマシかもな」と凌久君が言うもんだから、そんなに怖い所なの?と勇み足な気持ちが少しだけ萎む。

 でも。


「幽霊はちゃうけど…率直に言うてまえば変態クラブ、」「は?」


 凌久君の「いやーんつづ怖いわ」と態とらしく怖がる素振りをする。

 そんなのいいんだよ、私が聞きたい事は。


「待ってそのクラブって要は…エッチな事するクラブって事?」

「正確に言うたら性的倒錯者の集いって奴?世間様に見せられへん特殊な性癖を満たす楽園…ああ名前は楽園やなかった。名前はーーー」


 凌久君は間を置いて、皮肉気に嗤う。

 それはここにいない獅帥君へなのか、それとも隠し続けたシンカン達にか。


「ーーーソドム」

「ソドム…」


 ソドムってあの聖書の?


「つづ、ソドムがどないなのか知ってはる?」

「んーと…確か神様を怒らせて街を滅ぼされたんだよね」

「…ま、大まかに言うたらな」


 少しだけ意味あり気な笑みを口角に添えた。