私がICUの扉から出て来ると、先程より更に険しい目付きの埜々ちゃんvsシンカン&清維と言う妙な構図になっていた。
「埜々ちゃん!」
「綴ちゃん!妃帥様の容態は…」
「うん良くは無いよ」
だからこそ、とチラリと見る。
「だ、だから教えられないって」
「皆に迷惑掛けないから教えて」
鉄将君に詰め寄れば「しかしだな」と尚もゴチャゴチャ言う。
こうしている間にも刻一刻と時間を争っているのに?まだ何かあるの?
煮え切らない鉄将君に、私の負のオーラの累積が凄い事になりかけていると、
「いい加減にしなよ、アンタが妃帥に振り回されるのは勝手だけど僕等を巻き込まないでよ」
「お前ちっとは頭冷やせ」
いつもの悪態ズがシャシャリ出て来る。
はあ…またですか。
「…振り回すって?」
「言っただろう、妃帥のコレはいつもの事だって」
「ふーん火ノ宮君は圭三郎さんよりも名医で妃帥ちゃんが大丈夫なの分かっちゃうんだーへー」
それは知らなかったなあーと言えば、火ノ宮君は「…っそう言う訳じゃないけど、よくある事だ」と言い訳の様に言った。
そこで火渡君がボソリと。
「可愛いくねェ女。屁理屈ばっかでマジウゼェ」
ケッと言わんばかりに、そう宣った。
初めて会った時に洋直ちゃんの事で諭されて落ち込んでいる姿とは雲泥の差だ。



