少し前まではパジャマパーティーして、あんなに笑い合っていたのに。
どうしてこんな。
そんな思いがぐるぐるして、感情的に涙が溢れそうなのをグッと堪える。
「おね…がい」
そうだ私は妃帥ちゃんが何を伝えたいのか確認しに来たんだ。
「うん聞こえているよ」
夢現なら聞こえているか分からないだろうから、痛くならない程度に手をギュッと握る。
すると妃帥ちゃんは目を見開き、あろう事か、
「妃帥ちゃん駄目だよマスク取っちゃっ」
酸素マスクを外してしまった。
「付けないと妃帥ちゃんが苦しくな、」
なるよと言い掛けて、妃帥ちゃんの瞳がジッと見つめているのに気付く。
その目はまるで大人しく聞けと言われているみたいで、妃帥ちゃんの暴挙を止める手が静止する。
妃帥ちゃんの手が私の襟首を掴んだ。
「妃帥ちゃ、ん」
「おねが、」
白い枝の様に細い手が、かなり力を入れているのか力み過ぎて震えている。
看護師が慌てた様子で近付くのを尻目に、妃帥ちゃんは言った。
強く意志の籠もっている。
いや、露命をつなぐ様な、
「獅帥の傍に、居て。1人に、しないで…っ」
ーーー儚くも悲しい言葉がハッキリと私に届いた。
その言葉に目を大きく見開く。
私の言葉を待たずして、妃帥ちゃんの身体が後ろに倒れた。



