鉄将君はウッと言葉を詰まらせる。
ウッじゃないよウッじゃ。
人の命と人生が掛かっているのにコントしている場合じゃないんだよ。
「そもそも何で教えたがらないの?」
「それは…」
そんな鉄将君は、私と埜々ちゃんの不審げな目が集中すればする程大きな身体を萎縮させていく。
普段なら笑ってしょうがないなあと終わっていたけれど、今はそんな気分になれなかった。
「お前に関係無ねェだろう」
「アンタは妃帥の心配だけしていればいい」
鉄将君の助けに入った火渡君と火ノ宮君の、いつもの攻撃的で疎外感を感じる言葉も、
「いいよ2人は黙ってて。教える気もないんでしょう」
「アア?」
「はあ?」
流す気もなれずに買う流れになるのも仕方ない事だった。
「…」
「…」
「皆んな落ち着こうよ、ね?ほら」
木野島君の仲裁も届かずに、前は怖かった火渡君と堂々と睨み合うぐらい頭が沸騰していた。
そこでーーーICUの扉がゆっくりと開かれる。
現れた人物は、
「ーーー綴様」
「カズミさん」
執事服のカズミさんだった。
あの家以外だとやっぱり違和感のある出で立ちに、私の戦闘態勢だった気持ちが萎んだ。
カズミさんは小さく私に礼をした後、圭三郎さん似向かって「先生、綴様を中にご案内しても?」と尋ねる。
え、私?



