過つは彼の性、許すは我の心 弐



「護衛役?」

「…ああそうでしたね、綴ちゃんはまだ獅帥様達と出会って日が浅いから、詳しくはご存知ないんですよね」


 失礼致しましたと言いながら話を始めた。


「鉄将君のお家である武凱の家が何のお家かは知っていますよね?」

「うん」


 確か武術の名門みたいなお家だよねと私が答えれば、埜々ちゃんは頷いた。


「オオミカには必ずシンカンが就きますが、実は就くシンカンの数は決まっていません」


 埜々ちゃんは、ですがと続ける。


「数が決まっていない代わりに、オオミカには最低でも1人就けるのが慣わしになっています」


 出たな掟としきたり。(私が今1番嫌だと思っているモノだ)


「そして、その最低1人就けるシンカンを選ぶ時に、必ず武凱の中から選ばれるんです」

「それって…ボディーガード的な感じで?」

「そうです」


 護衛役ってそのままの意味なのか…の割には鉄将君が獅帥君の傍にいるイメージあんまりないよな。


「学生時は兎に角修行修行で、海外にも飛ぶ事があるんですよ」

「海外に武術を学びに行くの?」

「はい。武凱は武術の最高峰とも言われるだけあって、自国だけでなく、海外の武闘家達との強い繋がりがありますから」

「はあ〜」


 はあ〜しか言えない内容だったが、護衛の鉄将君がいつも獅帥君の傍に何でいないかは分かった。