過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 内心、その答えに落胆した。


「…まだ見つかってないのね」


 今回の様に獅帥は発作的に姿を消す事があった。

 しかも中々見つからない上に、シンカンですら巻き、漸く帰って来たと思ったら、トラブルを抱えて帰って来るのだ。

 それも最悪な形で、だ。

 烈の紹介で出会ったと言う相手も、突然姿を消したと思ったらその相手の所にいて、世話になった代わりに本人の願いを聞いた獅帥は、暫く傍に置いたのだ。

 それでアレ(・・)だ。

 兎に角、早い所見つかって欲しいんだけれど…。

 そんな私の切なる願いとは裏腹に、


「でも、」


 深刻そうに口を開くマサに「どうしたのよ」と嫌な予感がしてせっついてしまう。


「豊起といるらしい」

「それは冗談…な訳ないわよね」


 マサの嫌がり様に此方まで嫌になる。

 よりによって…と私まで頭を抱えたくなった。

ーーー深く付き合わないなら、豊起は別に悪い人間じゃない…と思う。

 ただ、豊起は元々悪かったものを、更に悪くする…所謂愉快犯の様な性質があるから尚更タチが悪い。(洋直の事だって1番弄んでいたのだが豊起だった)

 豊起が誰よりも被害を大きくして、何の責任も取らずに逃げ仰て、事態が収束した所で何食わぬ顔をして戻って来るのが、あの男なのだ。


 絶対に悪い予感しかしない。