過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 えぇ?何この空気…。

 空気の読めない発言はしたつもりはないけれど、色々あり過ぎて忘れていた。

 一応今回の事は獅帥君の非常時に当たるだろうし、シンカンの彼等が揃っていないのは可笑しい。

 それに獅帥君はここに戻って来る筈だがら、何なら鉄将君もこの場にいなきゃいけないでしょうが。

…と思った訳だけれど、清維が「それは…」と言い掛けて何故だか口を閉じてしまう。

 何か知っているの?

 私が清維に問い掛けようとした時、火ノ宮君が「ほらさっさと行きなって」と私の背中をグイグイと押し始める。


「でも、」

「その格好で妃帥の事を出迎えるつもり?そんな格好で出迎えられても気分悪いだけだよ」

「そうだけどっ」

「埜々よろしくね」

「はい」

「絶対に連絡してね!」


 以外と力の強い埜々ちゃんに引きずられて、嫌々去る羽目になった。


ーーー綴が居なくなった後、ぼんやりと光る手術室の文字を見ながら、ソファーに座った。

 マサは前髪を掻き上げながら、隣にドカリと座っる。

 いつもならちょっとした口喧嘩でもする所だが、今は私もマサも非常事態という事が分かっているので、くだらない喧嘩をする気も起きなかった。

 マサは疲れた様に「世話掛かる…」と呟く。


「しょうがないでしょう。綴は慣れてないんだし…それで獅帥は?」

「楽からも烈からも連絡ない」