過つは彼の性、許すは我の心 弐



 赤が、赭色が、


「ゴホッ…!」

「妃帥ちゃん!」


 血液が私に降り注ぐ。

 バッと起き上がって妃帥ちゃんの肩を抱えると、


「カズミ!圭三郎を呼べ!」


 起きていたらしい獅帥君が、今まで聞いた事の無い大声で叫んだ。


「どうされましたか!」


 飛ぶ様に入って来たカズミさんは、私の前に蹲まる妃帥ちゃんを見て慌てて近寄る。


「妃帥お嬢様!声は聞こえていますか!」


 声は出ないものの頷く動作が見られ、カズミさんは少しだけほっとした表情になる。

 けれど直ぐに険しくなり、


「獅帥様。お二人にとっては不本意だとは思いますが、お嬢様は病院に連れて行きます。もし状態が悪化するなら、先ずは病院に連れて行くように言われていますので」


 と、不安が増す様な発言をした。

 口から血を吐くなんて尋常じゃないのし、仕方ないけれど…。

 チラリと隣の獅帥君を見れば「…分かった」と青白い表情で言った。


「申し訳ありません。直ぐに病院に…手配を…ええーーー…」


 獅帥君…。

 カズミさんは何処かに電話を掛け始めたが、依然青褪めている獅帥君に、何でもいいから声を掛け様とした。

 すると、


「…妃帥ちゃんどうしたの?何処か痛い?」


 妃帥ちゃんに手首をギュッと握られた。

 握った相手である妃帥ちゃんは、ゴボゴボと血を垂らしながら、何かを訴え掛けて来た。


「ゴホッ…綴」

「妃帥ちゃん分かったから少し横になろう」

「妃帥」


 獅帥君にも促されるが、いやいやと首を横に振る。