美とエロス。
多くの人類がその2つの共存について議論をしたに違いないが、私自身その2つが現実に存在している所を見たことがなかった。
それもそうだ。
私は尻の青い子供にしか過ぎず、その2つ兼ね備えたモノを拝めるのなんていつの日なのか…いや来ない方に1000億円掛けられるとも思っていた。
しかし、私は知ってしまった。
この2つが共存がしてしまった時、とんでもない相乗効果を生み出す事を私はまざまざと実感させられていた。
明日もしかして死ぬのか、私。
「…っ」
息を詰める。
スルスルと白い枝の様な指先が、私の顔辿る。
薄めのネグリジェが私の私服と重なる。
黒壇色の髪がサラサラと私の頬を掠めたた瞬間、ビリビリと電気を流し込まれた様に身体が震えた。
無様に圧倒される憐れな私を見て、柘榴の熟れた唇を弧に歪め、薄茶の瞳に嗜虐を滲ませる。
その仕草だけで今すぐ昇天しそうだったが、隣に獅帥君がいる事を思い出した。
同級生が隣で鼻血を出して死んでなんて、いよいよ笑えないだろう。
しかも死因が美とエロスの過剰摂取なんて…家族が聞いたら憤死ものだ。
情けな過ぎておばあちゃんにどつかれちゃう。
唾をゴクリと飲み込む。
そして、
「ひ、妃帥ちゃん?」
愛してやまない、私の上に跨る少女の名前を呼んだ。



