過つは彼の性、許すは我の心 弐



 神秘、神聖さ兼ね備えている男の空気は、指1つ動かさずとも人を圧する力があって、唾を飲み込む。

 何を言うのかと思えば、


「一緒に寝るのか?」

「は?」


 素っ頓狂な事を言った。

 何でそんな話になんねんと獅帥君に視線で訴えれば、


「お前の話だと、」

「…うん」

 
 ゆったりとしている口調に、まだカメラマンなのかお前!と言いたくなったが、雰囲気に呑まれたまま彼の言葉を待った。


「普通男女がベッドで寝るのはセックスするだけじゃないと」

「うんまあ…」


 まあた言ったよこの人。

 胡乱げな目で獅帥君を見てしまったが「でもね、多くの男女が一緒に寝てたらそう言う事になるとは思うよ」と付け加えた。


「私と獅帥君の間にそう言う気が無いだけで、どっちかにその気があったらあり得ると思うけど…と言うか、獅帥君の方が詳しいでしょうが」


 経験は多そうですからねえ。(嫌味)

 私の嫌味に少しだけ考えた風の獅帥君は、


「…深くは考えた事はない」


 と、サイテー発言で返した。


……いや考えてみれば、獅帥君は基本的に妃帥ちゃんの介入が無ければ、求めれれば答えるが、去るなら負わないスタンスの筈。

 女の子もそれありきで獅帥君と寝ている訳だから、獅帥君だけを責めるのは違うよね。


 うむむ…身を見切る必要があるか。