過つは彼の性、許すは我の心 弐



 前から獅帥君に抱きついてやると、頭上で少しだけ戸惑う気配を感じた。


「どうしたの?」

「いや…こうやって女と寝る事が無か、」

「はいはいサイテーサイテー」


 そんな事情知りたくないわ。

 
「もう…獅帥君。こうやって何もせず女の子と寝る事ないの?」

「ない」

「今までも?」

「ない」


 呆れてしまう。


「獅帥君身体の交流だけじゃなくって、心の交流も大事にしたら?」

「心の交流…」

「さっき言っていた好きなモノトークとか…自分の事とか話したりして、自分を知って貰った方がより行為?が良く思えるんじゃない?」

「…」


 まあその辺人それぞれだろうけど。

 逆に見知らぬ相手とする方が気楽って言う人もいるだろうけれど、少なくとも私は何も知らない相手とするのはやだなあと思ってしまう。

…とは言いつつも、私も()もお互いの事なんて何も知らなかったけれど。


「これから、」

「うん?」


 考え事をしている私の頭上で、獅帥君が私を見下ろしている気配を感じて、私も彼を見上げる。

 切れ長の美しい瞳とバッチリ目が合い、よく私今抱き着いているなと思った。急に離れたくなった。(現実を直視した)

 ズリズリと後ろに下がろうとして、何故だか。


「し、獅帥君?」


 離れない様ガッチリと腕に囲われてしまう。


「こうやって、」