偶々クマリの人達を例に出したけれど、少し調べた程度の私には分からない事情が、彼女等にもあるんだろう。
その事情が天條家と似かよっているのかは、所詮他人の私には分からない。
それでも役目とか役割とか関係無く、時々でも良い。
「ね。獅帥君も広ーい世界からすればちっぽけなんだから、もっとサボろう」
「サボる?」
「うん。で、サボった時は私と一緒に好きなモノ探しをして、妃帥ちゃんに伝えよう。絶対に妃帥ちゃん喜んでくれるよ」
少しでいいから肩の力を抜いて、唯の天條獅帥になってみよう。
お互いを何より大事にしている2人だからこそ、きっとお互いが唯一《《人》》でいられる居場所なんだろう。
その片割れが《《人》》である事が増えれば、獅帥君が普通に近付く事を望む妃帥ちゃんも喜ぶ。
そしたら喜びも2乗…アレ中々天才の発想じゃない?(自画自賛)
「…妃帥が喜ぶのか?」
そんな事で?と言う獅帥君に、
「うん賭けてもいいよ」
「…」
「前から言っているけど、好きなモノ探し前向きに考えてよ」
「…」
背後からでも分かる。
また眉をぐっと寄せているんだろうなあっと思うと、ふふっと笑みが溢れた。
ちょっとテンションが上がって、獅帥君にグルリと向き直る。
そして、ボスンっと。
「ほら!さっさと寝るぞ獅帥君」
「…何だ」



