過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 偶々クマリの人達を例に出したけれど、少し調べた程度の私には分からない事情が、彼女等にもあるんだろう。

 その事情が天條家と似かよっているのかは、所詮他人の私には分からない。

 それでも役目とか役割とか関係無く、時々でも良い。


「ね。獅帥君も広ーい世界からすればちっぽけなんだから、もっとサボろう」

「サボる?」

「うん。で、サボった時は私と一緒に好きなモノ探しをして、妃帥ちゃんに伝えよう。絶対に妃帥ちゃん喜んでくれるよ」


 少しでいいから肩の力を抜いて、唯の天條獅帥になってみよう。

 お互いを何より大事にしている2人だからこそ、きっとお互いが唯一《《人》》でいられる居場所なんだろう。

 その片割れが《《人》》である事が増えれば、獅帥君が普通に近付く事を望む妃帥ちゃんも喜ぶ。

 そしたら喜びも2乗…アレ中々天才の発想じゃない?(自画自賛)

 
「…妃帥が喜ぶのか?」


 そんな事で?と言う獅帥君に、


「うん賭けてもいいよ」

「…」

「前から言っているけど、好きなモノ探し前向きに考えてよ」

「…」


 背後からでも分かる。

 また眉をぐっと寄せているんだろうなあっと思うと、ふふっと笑みが溢れた。

 ちょっとテンションが上がって、獅帥君にグルリと向き直る。

 そして、ボスンっと。


「ほら!さっさと寝るぞ獅帥君」

「…何だ」