過つは彼の性、許すは我の心 弐



 月輪観。

 前にお祖父ちゃんが言っていた。

 満月を自分の心に浮かべて、自分と宇宙の一体感を養う事で、仏様の知恵に近付くのを目的とする瞑想方法。

 文献を調べると、神様と宇宙って色んな所に関わりがあるんだよね。

 星座もそうだけれど、神様を惑星に当て嵌められると知った時、月輪観の事を教えて貰って、宇宙ってただでさえロマンが詰まっているのに凄い!って感動した。

 大きな世界に自分が存在するって感じると、言葉に言い表し様のない感覚に陥る。

 それは決して嫌な感覚じゃない。

 時々自分の事が嫌になった時、自分の知らない世界に想いを馳せると、自分の悩みがちっぽけに感じるのだ。

 獅帥君にもこう言う感じ分かるかな。

 そんな思いで獅帥君に、私が思った事を伝えると、


「…」


 案の定余り想像つかないらしい。

 そうだなあ。


「…獅帥君達と関わる様になって調べた事があるんだけどさ。海外のとある地域ではクマリと呼ばれる女の子達がいるんだって」

「それが?」

「彼女達は女神様として、その地域では信奉の対象とされるんだけど…この話を聞いてどっかの家の事を思い出さない?」


 私の問い掛けに「天條(うち)か…」と獅帥君が答える。

 そうそう。


「この世界には、逸話を残した一族はたくさーんいる訳だから、獅帥君達だけが別に特別でもないんだよ」