過つは彼の性、許すは我の心 弐


 眠くなんか!と思っていたけれど、夏でも室温抜群の部屋で人の温かみを感じながら適当に会話をしているとドンドン眠くなってくる。

 だからか、


「眠くなんか、ないし…」

「分かった分かった」


 こうポロッと、


「私さあ…こうやって家族以外の男の人と寝れると思わなかった」

「…」


 話す気も無かった事を話してしまった。

 
「付き合っていた訳じゃ無いんだけど、男の人と昔そう言うその…」

「セックス?」

「直接的な表現しない様にしてたのに…まあいいや。一緒に寝てた時があったんだけど、ずっと心臓バックバクしてて寝れなかった」

「…」

「家族は私以外皆んな忙しくって、家にいないなんて結構あってね。帰って来る時間もまちまちで、暫く家族にバレる事は無かったんだけど、それでも夜中にこんな事して、学校にも行かずに遊び歩いている自分を知られたらって思ってたら、すっごく怖くって、」

「…」


 家に居場所がない訳じゃないし、何なら良い方だ。

 家族で食卓を囲む事もあるし、何処かに家族で出掛けることもあるし、ごく一般的な家庭。

 その一般を基準にして生きて来た私にとって、普通から大きく逸脱したあの時は、生きた心地がしなかった。

 
「私の事情なんて考慮してくれる人でも無かったし、正直帰りたいとも言えなくって」

「…」