「悪い…人なの?」
「そこまでは知らない」
余りにも当たり前に話される内容が、入って来ない。
「知らないけど、誰か来るのを知っていたの?」
「ああ」
………駄目だ意味が分からない。
聞きたい事があるんだけれど、自分の欲しい答えが分からなくって、手当たり次第質問している感じになっている。
「…こう言う事よくあるの?」
「ああ」
「いつから?」
少しだけ考えた後「…昔から」と答えた獅帥君。
「昔からって…」
頭が痛くなって来てこめかみをグッと押さえた。
その手に大きな手が被せられ、獅帥君を見上げる。
「悪かった」
「…何が?」
「今日はお前が俺の部屋に居る事が知られているから、来ないと思っていたんだ」
「知られている?」
「圭三郎来ていたんだろう。圭三郎がお前が居る事を姉に伝えているなら、きっと誰かが聞いている筈だ」
「はあ」
「だから、屋敷中の人間が知っている」
「ふうん…」
屋敷中に私が獅帥君の部屋に居る事が知られて居るって事か…。
「それって誤解を招かない?」
「…確かにそうだな」
「落ち着いてるなあ」
初めに何の話をしていたのかを忘れて、呑気にも獅帥君に突っ込みを入れているが、結局誰が何の目的で獅帥君の部屋に訪れたのかは分かっていない。
…そう!急に閃いた!誰が何の為にこんな真夜中に来たのかそこを聞きたかったんだよ!



