過つは彼の性、許すは我の心 弐



「悪い…人なの?」

「そこまでは知らない」


 余りにも当たり前に話される内容が、入って来ない。


「知らないけど、誰か来るのを知っていたの?」

「ああ」


………駄目だ意味が分からない。

 聞きたい事があるんだけれど、自分の欲しい答えが分からなくって、手当たり次第質問している感じになっている。


「…こう言う事よくあるの?」

「ああ」

「いつから?」


 少しだけ考えた後「…昔から」と答えた獅帥君。


「昔からって…」

 
 頭が痛くなって来てこめかみをグッと押さえた。

 その手に大きな手が被せられ、獅帥君を見上げる。


「悪かった」

「…何が?」

「今日はお前が俺の部屋に居る事が知られているから、来ないと思っていたんだ」

「知られている?」

「圭三郎来ていたんだろう。圭三郎がお前が居る事を姉に伝えているなら、きっと誰かが聞いている筈だ」

「はあ」

「だから、屋敷中の人間が知っている」

「ふうん…」


 屋敷中に私が獅帥君の部屋に居る事が知られて居るって事か…。


「それって誤解を招かない?」

「…確かにそうだな」

「落ち着いてるなあ」


 初めに何の話をしていたのかを忘れて、呑気にも獅帥君に突っ込みを入れているが、結局誰が何の目的で獅帥君の部屋に訪れたのかは分かっていない。

…そう!急に閃いた!誰が何の為にこんな真夜中に来たのかそこを聞きたかったんだよ!