過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 うん例え獅帥君に用事がある人なら、きっとカズミさんか圭三郎さん辺りが教えてくれている筈だろうし、ドアスコープ無いから仕方ないよね。

 覗くと言う行為に若干の罪悪感を感じながら、心の中でそう言い訳しつつ、そっと鍵穴を覗く。


 途端ーーー。


「ひっ…!」


 後ろに尻餅をつきながら、大きく後ろに後退した。


「な、な、」


 声が出ない。

 覗いた瞬間ーーー真っ黒な瞳と目が合った。

 ギョロリと覗く黒く昏い瞳に、直ぐ恐怖が身体中を巡る。

 喉はキュウっと閉まり、声すら出なかった。

 人って本当に怖いと声すら出ないって聞いた事あるけれど、本当に出なかった…いやそう言う話じゃなくって!

 
「誰なの!?」


 獅帥君が眠っているのも忘れて大声で、ドアの向こうの誰かに問い掛ける。

 鍵開けるのすら怖く、開ける勇気も無い。

 そう思っていたらなんと、鍵が差し込まれた音が聞こえて耳を疑う。

 絶対に可笑しい。ここまで聞いて名乗らないなんて疾しい事が無かったは通用しないでしょう!そもそも合鍵持っているのなんで!?


「ちょっと!」


 私は腰の抜けた身体でどうにかドアに飛び付き「これ以上するなら警察呼びますよ!?」と大声で言うと、ドアの動きがピタリと止まる。

 動きは止まった!次は取り敢えず警備員?警察?に連絡を…と考えていたら、