過つは彼の性、許すは我の心 弐



 長い付き合いだけあって簡単には挑発には乗らなかったが、


「敵は惣倉だけじゃない。ドブネズミの後ろ盾が黙っていないだろう。現に、さっさとオオミカに就かせろとせっついている」


 ただ敬語が外れるくらいには、苛ついている様だった。

 思った以上に綴を気にしているのね…。

 私は小さく笑って、


「…そうね。でも大丈夫よ、もう少ししたら綴を、」


 続いた言葉に  はーーーカズミは眼を瞬かせた。


「…それでも彼奴らは用意周到だ。どんな手を使って来るか分からない。火を付けさせるのも、落とされるのも前程簡単に出来ないぞ。警戒されている」

「…それでも決定事項よ、綴の事は。私がそうさせる」

「妃帥、お前」


 誰を失おうと、恨まれようともうこれがラストチャンスなの。

 自分の胸に手を当てる。

 何処まで私は…。

 気付いたら、カズミが私の手に自分の手を重ねていた。


「悪かった。何も知らない人間を巻き込むのはって考えただけだ。今更だよな」

「…」


 もう私達は止まらない。

 全てが私達を傷付けるモノだと知ってから。


『妃帥ちゃん!』


 だから綴の笑顔で、心が痛むなんてないのよ。

 私にとって1番大事なモノは、片割れただ1人なのだから。

 
「上手くやってくれていると良いのだけれど」

「…」


 もう一度窓の外に視線を向ける。