長い付き合いだけあって簡単には挑発には乗らなかったが、
「敵は惣倉だけじゃない。ドブネズミの後ろ盾が黙っていないだろう。現に、さっさとオオミカに就かせろとせっついている」
ただ敬語が外れるくらいには、苛ついている様だった。
思った以上に綴を気にしているのね…。
私は小さく笑って、
「…そうね。でも大丈夫よ、もう少ししたら綴を、」
続いた言葉に はーーーカズミは眼を瞬かせた。
「…それでも彼奴らは用意周到だ。どんな手を使って来るか分からない。火を付けさせるのも、落とされるのも前程簡単に出来ないぞ。警戒されている」
「…それでも決定事項よ、綴の事は。私がそうさせる」
「妃帥、お前」
誰を失おうと、恨まれようともうこれがラストチャンスなの。
自分の胸に手を当てる。
何処まで私は…。
気付いたら、カズミが私の手に自分の手を重ねていた。
「悪かった。何も知らない人間を巻き込むのはって考えただけだ。今更だよな」
「…」
もう私達は止まらない。
全てが私達を傷付けるモノだと知ってから。
『妃帥ちゃん!』
だから綴の笑顔で、心が痛むなんてないのよ。
私にとって1番大事なモノは、片割れただ1人なのだから。
「上手くやってくれていると良いのだけれど」
「…」
もう一度窓の外に視線を向ける。



