過つは彼の性、許すは我の心 弐



 その時に何故か、私の上に乗っかって謳う様に語っていた妃帥ちゃんを思い出した。

 そう言えば、


『ーーー綴の全てを咀嚼出来るならしたい』


 とそんな事を言っていた。

 でも、そんな。


「綴」

「…どうしたの」


 何も言わない代わりに、嫣然と微笑む獅帥君。

 普段の獅帥君からは考えられない、圧倒的な艶やかさに時が止まった。

 獅帥君はするりと自分の着物の帯を解いて、私に近付く。

 唾液で濡れた口唇が開く。

 ああ、私。


「ーーー食わせろ」

 
 食べられちゃうんだ。

 ガブリと首を噛まれた。