過つは彼の性、許すは我の心 弐




 白昼堂々行われた帷有墨の襲撃は運良く一般人に見つから無かった事とと、この事を大きく公表しない様に獅帥君にお願いした結果、文化祭は無事終了した。

 洋直ちゃんには詳しく語らなかったが(心配させてしまうし)ルイ君や渚君達には事情を説明して、クラスメイトに獅帥君が体調の悪い私を看病する為に抜けるって事で話をつけてくれたらしい。

 らしいって言うのは、この件を公表しないって事になった事で、私は早々に寮の自室に戻され、その獅帥君伝いに聞かされたから。


「綴様。どうかこの短期間に体調を崩されたり、お怪我されたりするのはもう少し…」

「大変申し訳ありませんでした…!」


 またまた出張してくれた圭三郎さんにも言われてしまい、謝り通すしか無かった。

 処置をしてくれた圭三郎さんの話だと、私の怪我は概ね惣倉君の言われた通りだったが、ナイフで傷つけられた指は時々ビリビリと痺れが走る事があるので、もしかしたら本当に神経を傷付けられているかもしれないと言われた。


「取り敢えず今日はお休み下さい。症状が続く様なら私に再度連絡を。獅帥様それでよろしいですか?」

「ああ」


 きっちり後ろで見守っていた獅帥君に「では失礼致します」と言った圭三郎さんは私の自室から出て行く。


「獅帥君…私も動かないから帰って大丈夫だよ」

「此処に居る」