「はい歯向かった奴らが後悔するぐらいには」
「惣倉君ガツンとやるんだよ。惣倉君が傷付くぐらいなら相手が傷付く方が全然いいから」
「それいいんですか?」
「うん惣倉君が意味も無く人を傷付ける様な子じゃないのは知ってるから、顔も見た事もない意地悪な人達の事なんてどうでもいい」
紛れも無く本心だ。
酷いと罵られ様と私のちっぽけな世界で大事なのは惣倉君の方なんだ。
例え、
『ーーー人殺し…暗殺の技術を高めた、嘘みたいな話だけどな』
惣倉君が恐ろしい事をしていても。
「はい頑張ります」
幼い笑顔で笑う彼が、私に取っては大事なんだ。
惣倉君は最後にサラリと私の頬を撫でた後、
「先輩の事は頼みますよ天條先輩。ゴミ片付けますんで」
帷有墨の首根っこを掴んで獅帥君に私を任せる。
「ああ…」
「惣倉君」
心配になってついつい声を掛けたが、惣倉君が「大丈夫です」と安心する様に笑う。
「また生徒会室で会いましょう。新刊の話もしたいんで」
「あ、うん…」
扱いが本当にゴミなんだな…。
私には笑い掛けながらも、反対にズルズルと意識のない帷有墨を物の様に引きずって行く惣倉君。
あんだけ恐ろしく痛い思いをさせられた帷有墨も、惣倉君の手に掛かったらゴミとなっているのが複雑でもあったが。
近くに居た鉄将君がドン引きした顔で惣倉君と引き摺られている彼は見ていたのが、妙に印象的だった。



