「指先にナイフ突っ込むなんて…クソッタレ」
声はこっちがドキドキする程怖いが、優しく触れた指が労りに満ちていて安心する。
「ナイフ?」
獅帥君の訝しげな声に、
「ナイフですよ、素人の先輩によくやったもんだ」
「はあ?」
鉄将君まで信じられないって声で応えた。
「左足首は捻挫かなコレは…背中は打撲程度だと思いますけど」
「凄いね何で分かるの?」
「人ってどんなに取り繕っても何処かを庇う様な動作をするんですよ」
「へえ…」
素直に感心していたら、
「ーーーそれはどうするんだ」
獅帥君の硬い声に背筋がピンと伸びる。(背中痛めているの忘れていてて…)
「もう一暴れする前にちょっくら先輩にされた事を2倍返しにして、今後唐堂先輩を見たら気分が悪くなる様な事をしておきます」
「3倍にしろ」
「4倍にしますよ、先輩」
「は、はい!」
惣倉君の手が頬に触れた。
「ごめんなさい、先輩守れなくて。可愛い先輩見に行くって約束したのに」
雨に打たれた子犬の様な目で私を見る。
そんなの、
「ち、違うよ!私と喜影君の事が大きくなって、逆に惣倉君は巻き込まれたんだから私の方が謝んなきゃ!それに…」
お家で惣倉君へのイジメが酷くなるんじゃと言おうしたら「先輩」と止められる。
「これからは程々にやり返します。先輩、だから自分の心配して下さい」
「本当に?絶対?」



