話を聞いているだけでジリジリと空気が圧迫されている様な感覚がしていた、が。
「鉄将買うな」
「獅帥!けど、」
「俺らが買わなくても任せた方がいい」
任せる?何に?
「空から天罰でも降んのカア?ハハハッ」
帷有墨は馬鹿にした様に笑うが、挑発に乗らずに獅帥君は語る。
「…惣倉喜影も大変だな。馬鹿を飼っていると」
「ハア?」
「惣倉喜影の後ろ盾をしている組の1つが襲撃に遭ったと言うのに、何も警戒しない」
喜影君の後ろ盾?組?あ。
朝に見たニュースが想起される。ヤクザ、お店襲撃、襲撃犯逃亡。
あれでも、と。
まるで獅帥君は襲撃される事を知っていたかの様に話す。
その事に違和感を覚えた。
それは、帷有墨もそうだった様で「何でお前が…まさか、」と不審げに獅帥君に問い掛けた。
ハッと鼻で嗤う獅帥君は、
「俺らがお前らに構うとでも?」
至極馬鹿にした様な言い方に帷有墨が「テメエ…」と近寄ろうとするが鉄将君も前に出て牽制している。
「上ばかり見ているとそうなる」
「ハア?」
「ーーーー惣倉には化け物がいると聞いた事があるが、眉唾だと思っていた」
唐突に、獅帥君はそんな事を言い始めた。
「…おちょくってんのカア?」
「おちょくってなどいない。俺はお前らの事は怖いと思った事は無かったが、気付いた時に初めて恐怖を覚えた」



